COLUMN

発達障害で書くことが苦手な子への支援 書くことは思考するためにある

発達支援コラム

※ この記事は、YouTubeで公開した動画・ショート動画の内容をもとに編集したものです。

言われた通りに書いて、ノートは埋まっている。でも、何を書いたのかは残っていない。教室で起こりやすいことです。書くことが苦手な子への支援を考えるとき、私はまず「その書く時間は、本当に勉強になっているだろうか」と立ち止まります。

書くことは、思考するためにある

そもそも書くことは何のためにするのか。私は、思考するためだと考えています。覚えるため、考えるための手段が書くことです。ところが、書くことをこなすだけで精一杯になると、「ああ、書き終えた」で終わってしまいます。何を書いていたか分からない。これで勉強になっているかと言われると、なっていません。

脳のエネルギーは、本当は考えることの方にたくさん使えた方がいい。それなのに、書き終えただけで満足してしまうのです。

「もっと丁寧に」「早く」は、もう届いています

「素早く丁寧に書いてくださいね」「10秒でいきます。書けましたか。書けていないならどんどん次に行きますよ」。私たちはよかれと思って、こうした声をかけます。でも子どもからすると、もうしているんです。うーんと力を入れて、精一杯やっている。そこにさらに言われると、やる気がなくなってしまいます。

漢字学習ひとつとっても、3文字をスラスラと書ける子もいれば、3文字がとてつもなく辛い子もいます。同じ量を同じ速さで、が当たり前になっていないか。一度点検したいところです。

全部書かせなくていい

例えば連絡帳に、1行目として「最後まで丁寧に粘り強く取りかかること」と書かれていたとします。これは、書き写す必要がありません。大事なのはその後の「残りは宿題」「明日提出」といった、あとで見返したときに行動につながる部分です。書くのはこれだけでいいはずなんです。後で見返して「明日、宿題、職員室か」と分かれば、それで役目は果たしています。

それなのに、全部書きなさい、みんなやっているから、書くことが大事だから、と書かせてはいないでしょうか。

① 書く目的に立ち返る
書くのは覚えるため、考えるため。書き終えることが目的になっていないか確かめます。
② 「もうしている」を前提に声をかける
丁寧に、早く、はすでに本人が精一杯やっていること。重ねて言わないだけで力は残ります。
③ 後で見返して分かる言葉だけ残す
写す量を減らし、キーワードだけにする。同じ量を全員に、をやめてみます。

書くことを、みんなと同じようにさせるのがいいのか。私は、そうではないと思っています。書く量が減った分のエネルギーを、考えることに使える。それが、書くことが苦手な子にとっていちばんの支援になります。

村井泰志(ハリー先生)

この記事を書いた人

村井 泰志(ハリー先生)

株式会社ひといろは代表・発達支援アドバイザー。元小学校教員(8年)。特別支援学級・通級指導教室などで2,000人以上の相談・支援に携わる。プロフィールを見る →

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