COLUMN
不登校・行き渋りの子への親の関わり方と理解の第一歩
※ この記事は、YouTubeで公開した動画・ショート動画の内容をもとに編集したものです。
朝、学校の門の前まで行って、いよいよ「もう行けるよね」という時に、やっぱり無理と引き返してしまう。その場から動けなくなってしまう。「明日は行ける」と言っていたのに、当日になると急にできなくなる。理由を聞いても曖昧で、「え、そんなことで?」と思ってしまうこともあります。行き渋りや不登校のご相談では、こうしたお話をよくうかがいます。
行き渋りは「甘え」ではなく、何かが起きているサイン
そんな時に親御さんが迷うのが、休ませていいのかな、それとも行けるように声をかけた方がいいのかな、ということです。休ませることは甘えさせることになるんじゃないか。一度休ませたらずるずる行ってしまって、余計に行きにくくなるんじゃないか。かと思えば、反対に「行きなさい」と送り出した後で、これで良かったのかなと迷ってしまう。
しかも世の中には、どちらの論もあるんです。行かせた方がいいですよという話もあるし、休んだ方がいいですよという話もある。だからどちらの選択を取っても、一方からは「いや、こうした方がいいですよ」と言われてしまうんですね。自分の選択に自信が持てない分、周りからどう見られているだろうという気持ちも出てきます。
大切な視点は、行き渋りは甘えやわがままではなく、何かが起きているサインだということです。ヘルプなのかもしれない、と捉えるのが第一歩になります。
今必要なのは、どうやって行かせるか、休ませるべきか、という二択ではありません。今この子に何が起きているのかな、と理解すること。まずはここから始めましょう。
理由がはっきりしないことのほうが、ずっと多い
ご相談をうかがっていて多いのは、「なんだかやる気が出ない」「なんだか行きたくない」「なんだか苦しい」という、無気力や不安に近い状態です。つまりどういうことかというと、本人も理由がわからないんですよ。
それでも大人から無理に聞かれるので、答えようとするんですね。「勉強がわからない」「面白くない」と言うんだけれども、でもそれって一部の話で、本当はいろいろと複合的にあるんです。それが言葉にならないから、絞り出してパッと思いついたものを言っているだけなんです。
そもそも学校は、けっこう負荷が高い場所です。
- 決められた時間の中で動くこと
- 集団で過ごすこと
- 音や人の多さ
- まわりと比べやすいこと
- 失敗が見えやすいこと
文部科学省の調査でも、通常学級の中に学習面・行動面で著しい困難を示す子がいることが示されています。調査が示しているのはここまでですが、その手前の「まあまあ困っている」「ちょっと困っている」という子は、現場の実感としてさらに多くいると感じています。だとしたら、その子たちも明日もう行けなくなる、プチンと切れてしまうということがありうるんですね。
理由が明確な出来事があったからではなく、なんだかわからないけれど疲れやすい、苦しい、という困り感の積み重ねが、行き渋りという現れになっている。そう捉えてみてください。
遊んでいるように見えて、心は葛藤している
子どもたちの苦しさは、ここにあります。行きたくない、嫌だ、が100%だったら、そんなに悩まないんです。本当は行きたいし、頑張りたい気持ちがある。行った方がいいことも分かっている。みんなと同じように頑張りたい、できるようになりたい、友達と遊びたい。そういう願いがあるからこそ、行けない時にその落差の分だけ苦しいんですね。この葛藤の中でずっと迷っているということを、私たちは知っておく必要があるなと思います。
以前、1日中お砂場で過ごしている小学1年生の子がいました。どうしようかな、行こうかな、今日は無理かな、と考えながら、ずっとそこにいるんです。周りから見ると「遊んでいるじゃん」ですよね。1日中砂場で遊んでいていいな、と見えてしまう。でも、その子の中ではずっと苦しんでいるんです。迷っているんです。どうしよう、ああ、行けなかった、明日は行けるかな、大丈夫かな、と。
外から見える姿と、その子の中で起きていることは違います。遊んでいるように見えても、葛藤し続けているので回復していない。これが葛藤の苦しさです。
まずは、子どもの世界を見ようとするところから
行かせるか、休ませるか。その答えを急いで出そうとすると、かえって目の前の子どもが見えにくくなることがあります。理由がうまく言葉にならないこと、困り感が積み重なっていること、本当は行きたい気持ちとの間で葛藤していること。そうやって子どもの世界を見ようとしていくことで、関わり方は自然と変わっていくのではないかなと思います。
迷いながらで大丈夫です。まずは「今、この子に何が起きているんだろう」と、その子の側から世界を眺めてみてください。
この記事を書いた人
村井 泰志(ハリー先生)
株式会社ひといろは代表・発達支援アドバイザー。元小学校教員(8年)。特別支援学級・通級指導教室などで2,000人以上の相談・支援に携わる。プロフィールを見る →

